【この記事の要点】
①補助金の採択率は制度・公募回により異なり、一般に30〜70%程度とされています。
②採択率が高い=簡単ではなく、要件充足と事業計画の質が重要です。
③最新の採択率・要件は各制度の公式サイト・公募要領で必ず確認しましょう。
補助金申請を検討する際の「採択率」への疑問
補助金の申請を検討する中小企業や個人事業主の担当者の方から、「この補助金は採択されやすいのか」「採択率はどのくらいなのか」というご質問をよくいただきます。補助金は返済不要の資金支援として魅力的ですが、申請すれば必ず受給できるわけではなく、審査を経て採択される必要があります。
採択率は制度ごと、公募回ごとに異なり、また申請内容の質によっても結果は大きく変わります。本記事では、補助金の採択率に関する一般的な考え方と、申請前に押さえておくべきポイントを解説します。
補助金の「採択率」とは何か
補助金における「採択率」とは、一般に「申請件数に対して採択された件数の割合」を指します。例えば、ある公募回で1,000件の申請があり、そのうち500件が採択された場合、採択率は50%となります。
採択率が公表される制度と非公表の制度
主要な補助金制度では、公募終了後に採択結果が公表され、採択率も明らかになることが一般的です。例えば、事業再構築補助金やものづくり補助金、小規模事業者持続化補助金などでは、中小企業庁や事務局のウェブサイトで採択件数・申請件数が公表されています。
一方、自治体独自の補助金や一部の助成金では、採択率が公表されないケースもあります。この場合、過去の傾向や窓口への問い合わせで目安を把握することになります。
採択率の数値が持つ意味
採択率が高い制度は「申請しやすい」と感じられるかもしれませんが、これは必ずしも「審査が甘い」ことを意味しません。採択率が高い理由としては、以下のような要因が考えられます。
- 予算枠が大きく、多くの事業者を支援する方針である
- 申請要件が明確で、要件を満たす事業者が多い
- 申請件数が予算枠に対して少ない
逆に採択率が低い制度でも、要件を正確に満たし、質の高い事業計画を提出すれば採択される可能性は十分にあります。採択率はあくまで参考指標の一つとして捉えることが重要です。
主要な補助金制度の採択率の傾向
ここでは、代表的な補助金制度について、一般に公表されている採択率の傾向をご紹介します。なお、以下の数値は執筆時点での過去の公募回の実績であり、今後の公募回で同じ採択率になるとは限りません。最新の情報は必ず各制度の公式サイトでご確認ください。
事業再構築補助金
事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者が新分野展開や業態転換などに取り組む際の設備投資等を支援する制度です。過去の公募回では、採択率は概ね30〜50%程度で推移しているとされています。申請件数が多く、審査も厳格に行われる傾向があります。
ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者が行う革新的なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を支援する制度です。過去の公募回では、採択率は概ね40〜60%程度とされています。申請類型や加点項目の有無によっても採択率は変動します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や生産性向上に取り組む際の経費を支援する制度です。過去の公募回では、採択率は概ね50〜70%程度とされており、比較的高い水準で推移しています。ただし、申請枠(通常枠、特別枠など)によって採択率は異なります。
IT導入補助金
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の経費を支援する制度です。過去の公募回では、採択率は概ね70〜90%程度と比較的高い水準とされています。ただし、要件を満たすITツールの選定や、導入計画の妥当性が審査されます。
採択率を左右する要因と申請前のポイント
採択率は制度全体の傾向を示す数値ですが、個別の申請が採択されるかどうかは、以下のような要因に大きく左右されます。
要件の充足
補助金には、対象となる事業者の要件(業種、従業員数、売上高の減少率など)や、対象となる経費の要件が定められています。これらの要件を一つでも満たさない場合、審査の対象外となり不採択となります。申請前に公募要領を熟読し、要件を正確に確認することが最も重要です。
事業計画の質
多くの補助金では、事業計画書の提出が求められます。審査では、事業の革新性、実現可能性、収益性、地域経済への貢献度などが評価されます。具体的な数値目標、実施スケジュール、資金計画などを明確に記載し、審査員に事業の価値を伝えることが重要です。
加点項目の活用
一部の補助金では、特定の要件を満たすことで加点される仕組みがあります。例えば、賃上げ計画の策定、事業承継の実施、地域の経済団体との連携などが加点項目となることがあります。該当する加点項目がある場合は、積極的に活用することで採択の可能性を高めることができます。
申請書類の正確性と完全性
申請書類に不備があると、審査の対象外となったり、減点されたりする可能性があります。必要書類の漏れ、記載内容の矛盾、計算ミスなどがないよう、提出前に複数回チェックすることが推奨されます。
公募回ごとの予算枠と申請状況
同じ制度でも、公募回ごとに予算枠や申請件数が変動するため、採択率も変わります。予算枠が大きい公募回や、申請件数が少ない公募回では、採択率が高くなる傾向があります。ただし、これらの情報は事前に正確に把握することが難しいため、あくまで参考程度に留めるべきです。
公式・参考情報(一次情報リンク集)
補助金の最新情報や公募要領、採択結果は、以下の公式サイトで確認できます。
- 中小企業庁 – 国の補助金制度の総合窓口
- ミラサポplus – 補助金・助成金の検索サイト
- jGrants – 補助金の電子申請システム
- 事業再構築補助金 公式サイト
- ものづくり補助金 公式サイト
- 小規模事業者持続化補助金 公式サイト
- IT導入補助金 公式サイト
よくある質問(FAQ)
Q1. 採択率が高い補助金は審査が甘いのですか?
A. 採択率が高いことは、必ずしも審査が甘いことを意味しません。予算枠が大きい、申請要件が明確で要件を満たす事業者が多い、申請件数が少ないなどの理由で採択率が高くなることがあります。いずれの制度でも、要件の充足と事業計画の質が審査されます。
Q2. 過去の採択率が低い制度は申請しても無駄ですか?
A. そのようなことはありません。採択率が低い制度でも、要件を正確に満たし、質の高い事業計画を提出すれば採択される可能性は十分にあります。採択率はあくまで全体の傾向であり、個別の申請内容が最も重要です。
Q3. 採択率は公募回ごとに変わりますか?
A. はい、同じ制度でも公募回ごとに予算枠や申請件数が変動するため、採択率も変わります。過去の採択率は参考になりますが、次回の公募回で同じ採択率になるとは限りません。
Q4. 採択率を事前に知る方法はありますか?
A. 過去の公募回の採択結果は、多くの制度で公式サイトに公表されています。ただし、次回の公募回の採択率を事前に正確に知ることはできません。過去の傾向を参考にしつつ、要件と事業計画の質に注力することが重要です。
Q5. 採択率を高めるために専門家に相談すべきですか?
A. 補助金の申請は、要件の確認や事業計画の作成に専門的な知識が必要となる場合があります。特に初めて申請する場合や、事業計画の作成に不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することで、採択の可能性を高めることができます。
補助金申請における注意点
補助金の採択率を参考にする際には、以下の点に注意が必要です。
採択率だけで制度を選ばない
採択率が高いからといって、その制度が自社の事業に適しているとは限りません。補助対象となる経費、補助率、上限額、申請要件などを総合的に検討し、自社の事業計画に最も適した制度を選ぶことが重要です。
最新の公募要領を必ず確認する
補助金の要件や補助率、上限額、締切などは公募回ごとに変更されることがあります。過去の情報や一般的な解説だけでなく、必ず最新の公募要領を確認してください。
採択=受給ではない
補助金は採択されても、事業を実施し、実績報告を行い、確定検査を経て初めて補助金が交付されます。採択後も適切な手続きと報告が必要です。
虚偽申請や不正受給は厳禁
採択率を高めるために、要件を満たしていないにもかかわらず虚偽の申請を行うことは絶対に避けてください。不正が発覚した場合、補助金の返還や刑事罰の対象となる可能性があります。
専門家(行政書士)に相談を考えるタイミング
補助金の申請は、要件の確認から事業計画の作成、申請書類の準備まで、多くの工程があります。以下のような場合には、行政書士などの専門家に相談することを検討してもよいでしょう。
- 初めて補助金を申請する場合
- 公募要領の内容が複雑で、要件を正確に理解できない場合
- 事業計画の作成に不安がある場合
- 申請書類の準備に時間が取れない場合
- 過去に申請したが不採択となり、改善点がわからない場合
専門家に相談することで、要件の確認漏れや書類の不備を防ぎ、採択の可能性を高めることができます。ただし、専門家に依頼しても採択が保証されるわけではありません。あくまで申請の質を高めるためのサポートとして活用してください。
採択後の手続きの負担と「補助金Manager」という選択肢
補助金の申請が採択された後も、事業の実施、経費の管理、実績報告、確定検査など、多くの手続きが必要となります。特に、経費の証拠書類の整理や報告書の作成は、本業と並行して行うには大きな負担となることがあります。
このような採択後の手続きの負担を軽減する選択肢の一つとして、補助金Managerのようなサービスがあります。補助金Managerは、採択後の経費管理や報告書作成をサポートするツールで、書類の整理や進捗管理を効率化することができます。
採択後の手続きに不安がある場合や、本業に集中したい場合には、こうしたサービスの活用も検討してみてください。詳しくはこちらからご確認いただけます。
まとめ
補助金の採択率は制度・公募回により異なり、一般に30〜70%程度とされていますが、採択率が高い=簡単ではなく、要件充足と事業計画の質が最も重要です。最新の採択率・要件は各制度の公式サイト・公募要領で必ず確認し、不明点は専門家に相談することをお勧めします。
関連記事:
- 補助金申請の流れと必要書類
- 事業計画書の書き方のポイント
- 採択後の実績報告の進め方
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の申請可否や採否を保証するものではありません。補助金・助成金の要件、補助率、上限額、締切等は公募回ごとに変わります。最新かつ正確な情報は、各制度の公式サイト・公募要領を必ずご確認ください。掲載情報は執筆時点のものです。個別のご相談は、当社の行政書士へお問い合わせください。
監修:トリプルナイン株式会社(行政書士在籍)


